主人公星野が、何をして誰からどんな罰を受けているのかが、抽象的でわかりにくかったけど、
最後まで面白く読めた。
星野の監視役を務めている巨大な女繭美のがさつさがいい感じ。
「ラットマン」 道尾秀介
だまし絵みたいに見方によって、真実も様々に見えるんだなと思った。
読み始めの引っ張られるような面白さが、すぐに失速してしまったのが残念だった。
「猫も杓子も」 田辺聖子
「ともにたのしいパーティーのひけぎわがまずいということは、
ともに屑的人間のサンプルということではないか?」
「人を苛めるなんて情熱の最たるものだ。」
などと、気になるフレーズが多くてなかなか読み進められないほど。
主人公の阿佐子は恋多き三十路の女。
田辺さんの小説によく登場する、クリエイティブな職業に就いていて見た目は少年のようにキュートなタイプ。
1973年に出版された本とは思えないほど、全く古さを感じなかった。
ゾンビーズシリーズの完結編にして結成前夜のストーリー。
舜臣やアギー、山下やヒロシ。彼らに再び会えて懐かしく嬉しかった。
本書は、彼らが自分自身の価値観を見つけるきっかけになった出来事が書かれていた。
これで完結って寂しすぎる。
「小夜しぐれ みをつくし料理帖」 高田郁
待望の第5弾。
本作も、澪や澪を取り巻く人々の誠実な心根が素晴らしく、心地よい読後感だった。
表題作の「小夜しぐれ 寿ぎ膳」は、伊勢屋の美緒が想い人を諦めて祝言を挙げる話。
自由奔放だった美緒が、自分の恋心に終止符を打ち、新たな人生を歩いていこうとする姿が
健気で切なかった。
「八日目の蝉」 角田光代
不倫相手の子供を誘拐し逃亡生活を続ける希和子。
第1章は彼女の視点で綴られている。
連れ去った赤ん坊を薫と名付け、我が子として慈しみ愛情の限りを尽くして育てる希和子。
なんて母性の強い人なんだろうと思った。
印象的だったのは、希和子が小豆島で霊場巡りをした際に、「同行二人」というお札について、
本来は、弘法大師と二人という意味なのに、自分は薫と二人きりでこの先もずっと歩いていくと感じた箇所。
第2章は、大学生に成長した薫こと恵理菜の視点で進行していくことにより、
第1章で語られていなかった事件の全貌が見えてくる。
幼少期に誘拐犯に育てられるという特殊な経験によって、
その後の人生を狂わされた恵理菜もまた気の毒だった。
たとえ、愛されていたとはいえ。
久々のポンちゃんシリーズ。
まず~この表紙!!!上條敦士ですよ!!!
上條さんの書くポンちゃん、ベリークール!!!
と、表紙だけで興奮しましたが、中は相変わらずのポンちゃんのゆるい日常でした。