中野さんが営む古道具屋が舞台の連作短編集です。
店主中野さん曰く、中野商店は古道具屋であって骨董屋ではないそうです。
主人公は、ここでバイトしている女の子のヒトミ。
ヒトミと、同じくバイト仲間のタケオとの淡い恋模様に、変わり者の店主中野さんや、中野さんの姉で
芸術家のマサヨさん、中野さんの美人の愛人etc.が絡んできます。
川上さんの書く人物は、みんな、どこかのんびりしていて憎めません。
私は特に、タケオが好き。
何もつまずくような物がない所で、けつまずく男の子。
学生時代に凄惨なイジメに遭い、その為か飄々としてて他人とうまく馴染めない・・・。
「ヒトミさんも生きてくのとか 苦手すか。」
タケオは、どんな気持ちでこの言葉を言ったんだろう。
ずっと手元に置いて、何度も読み返したくなる、そんな本でした。