山田詠美の4年ぶりの書き下ろし長編です。
新聞広告には、「恋愛小説の金字塔、ここに誕生!!」なんて、紹介されてましたが、私が思うに、
この小説、そんな大それた感じではないです。
それより、普通の人でも、ちょっと背伸びすれば届くかもと、勘違いさせてくれる親近感を感じます。
主人公の慈雨(じう)と、彼氏の栄(さかえ)は、出会った時すでに、お互い42歳。
仕事はしてるけど、未だに実家に両親、兄夫婦と共に暮らすお荷物的存在の慈雨。
予備校講師の栄は、乗り物全般にめっぽう弱く、唯一の交通手段は、自転車(!)
こんな大人になりそこねた二人が織り成す、簡素で美しい恋愛小説です。
まず、主人公の二人がとんでもなく、愛おしいです!
年齢的には、立派な大人なんだけど、二人で居る時は、まるで幼い双子みたい。
人生の後半に、こんな密度の濃い恋愛を始められるなんて、羨ましいなぁと、うっとりしたり、
慈雨ちゃん可愛い!、栄くんみたいな彼氏欲し~とか、ウダウダ思ってる内に読み終えました。