「桃色東京塔」 柴田よしき
そんなジャンルないのはわかってるんだけど、遠距離恋愛ミステリーとしか呼べない連作短編集。
中の1編である「猫町の午後」は、勝手に後味のよいどんでん返しを想像して読んだけど、
実際は、後味の悪いままのラストでした。(^^;
「三島屋変調百物語事続 あんじゅう」 宮部みゆき
おそろしの続編。
三島屋の主の姪である、おちかが百物語の聞き手となるシリーズ第2弾。
第1話の「逃げ水」は、お旱(ひでり)さんの話。
これもすごくよくて大好きになった。人々に崇められて村を守ってきた地神のお旱さんが、年月と共に
忘れられ寂しく山の祠に閉じ込められていたのが、哀れだった。
宮部さんの書くお旱さんは、小さな女の子の姿をしていて可愛くいじらしかった。
「藪から千本」は、死霊の怨念の話と見せかけて、実は生きた人間の生み出した怨念の話。
怖い話だったが、それでもラストにほっこりするオチがついていて読後感は爽やか。
表題作の「あんじゅう」は、トトロに出てくるまっくろくろすけと同じような、空き家に住み着くあやかしの話。
これが、可愛くて可愛くて!!
そして、可愛いがゆえに切なくて泣かされました。
「吼える仏」これは、ひとりの男の憎しみが木で彫った仏に宿り村を滅ぼす話。
このシリーズ、まだまだ続くような終わり方だったので嬉しい。
第3弾が待ち遠しい。
「死ねばいいのに」 京極夏彦
亜佐美という女性が亡くなり、彼女の知人であるケンヤが彼女と縁のあった人々を訪ねて行く話。
物語は、一人目、二人目とケンヤが訪ねる人数で進んでいく。
このケンヤがまず・・・・めちゃくちゃ嫌な男である。
「俺、頭悪いんで気に障るようなこと言うかも知れねーけど。」なんて前置きも腹立つ。
これ、映画とかドラマだと綾野剛がやったらハマリそう。
そしてケンヤは、他人が心の奥に隠していて触れられたくないことに、いとも簡単に触れてくる。
容赦なくズケズケ入り込んでは、逃げ場のないところまで追い詰めてくる。
本当に嫌な奴である。
企画倒れしたゲームブックの作者と、その編集者が食いつなぐためにインチキ宗教を立ち上げる話。
金のために偽宗教を立ち上げたわりに、この二人が根っからの悪人でなく変に良心的なのが滑稽だった。
たった二人の思い付きで始めた宗教が、次第に巨大な組織に成長していく様が不気味だった。