「愛しの座敷わらし」 荻原浩
東京から田舎の古民家に引越してきた一家が、座敷わらしに遭遇するストーリー。
まず、この座敷わらしがめちゃくちゃ可愛く書かれている。
年のころは4歳か5歳。紺がすりの着物に髪は頭のてっぺんで結んでいる。
座敷わらしの存在を通してばらばらになりかけていた家族が本来の姿に戻っていく・・・
読後、温かい気持ちになった。
「モップガール」 加藤実秋
買ってから長らく放置してた本。
主人公の桃子が勤めるクリーニングサービス宝船は、事件や事故のあった現場を清掃する会社。
作業中に桃子はフラッシュバックに襲われ、それを手がかりに事件の謎を推理していく・・・
読みやすいし面白かったけど、ちょっと軽かった。
「コーリング 闇からの声」 柳原慧
モップガール同様、特殊清掃を職業にしている人物(零と純也)が主役の物語。
モップガールがグロい描写が少なめだったのに対して、こちらは死体の腐りようがリアルに書かれていた。
まるで浴室から腐乱臭が漂ってくるようだった。
ひとりの女性の死に複雑な因果関係が絡んでいて読み応えたっぷりだった。
孤独を埋めるために、より一層孤独になることもあるんだなと思った。
「ドラゴン・ティアーズ 龍涙」 石田衣良
池袋ウエストゲートパークシリーズの第9弾。
表題作は、中国から日本へ出稼ぎに来ている若者の話。
これもよかったけど、「家なき者のパレード」が私はいちばんよかったな。
ホームレスを食い物にしてる連中にマコトが立ち上がる。
相変わらずマコトはいい男!
「楽園 上・下」 宮部みゆき
相談を、ライターの前畑滋子が受けたことから、過去の事件・現在の事件が紐解かれていく・・・・
久々に憑かれたように読み切った。
面白かった!!みっちり充実したミステリーであり、親子の愛情の物語でもあった。
映画を先に観てしまい、原作は読んでなかった。
「楽園」に劣らずこちらも傑作ミステリーだった。
主要人物に限らず、少ししか登場しない人物も実に丁寧に書かれている。
それが、後に大事な伏線だったと気付かされた。
ピース、ヒロミの劇場型殺人者。世の中を舐めきったふたり。
ふたりによって多くの人々の人生が破壊されていく・・・・
誰に肩入れすることも無く、中立に書かれているのが物語を余計にリアルに感じさせる気がした。
元警察官で、現在は一級建築士の通称「建築家」
彼を主役にしたミステリーを読んでみたいと思うほど興味深い人物だった。
「悶絶スパイラル」 三浦しをん
久しぶりに面白いエッセイだった。
漫画おたくで酒好きで我道まっしぐらの三浦さんの日常が素敵である。
あとがきに書かれてた「想像力の無駄弾」って表現が好き。
私も日々、無駄弾撃ちまくってる方だから。