ronronさんに、教えてもらって読み始めた一冊です。
まず、作者の名は、ありかわ ひろと読み、女性です。
なのに、私の行く本屋では、なぜか男性作家の棚に並べられてます。
余談ですが、この本屋、柴田よしきも男性作家と思ってますから・・・。
さて、内容は、自衛隊を舞台に繰り広げられる、機密漏えい、内部告発・・・・
という堅苦しいものでは全くなく・・・・
それは、それはどこまでも甘い、色恋沙汰オンリーです。
作者本人が、あとがきで、「ベタ甘ラブロマ好きで何が悪い!!」って開き直ってる程ですから。
表題作の「クジラの彼」は、潜水艦乗りとOLのラブストーリーです。
潜水艦の航海スケジュールは、防衛機密の為、一度海に出ると、今度いつ戻ってくるか、
一切周囲にはわからない・・・。
そんな不安な状態で、距離と逢えない時間を乗り越え、ふたりが本当の恋人同士になっていく
過程が、甘く切なく描かれています。
この潜水艦乗りの彼氏が、シャイな人物で、長期間待ちわびてる彼女に対し、
実に素っ気無いメールを送ります。
「元気ですか?こっちは元気です。夕食はカレーです。」・・・おしまい。
これに対し、もっと恋人同士の甘さを期待してた彼女は、
「小学生の日記か!!」と不満気。(笑)
だけど、私に言わせれば、好きな人が、こんないたいけなメールをくれたら愛しさ倍増だけどなぁ。
表題作の他にも五編、自衛官たちの恋愛の話が収録されていますが、どのストーリーも人物が
男も女も魅力的で、可愛く一途なところが共通点です。
舞台が自衛隊なので、専門的な内容が随所にちりばめられてて、そのストイックなかっこよさが
余計に彼らの恋愛の甘さを引き立ててるように思えます。
この作品以前に発表された「海の底」「空の中」(これらも自衛隊の話)も、読んでみたいです。